東京簡易裁判所 平成8年(ハ)16437号 判決 1997年4月10日
主文
1 被告から原告に対する東京簡易裁判所平成六年(ハ)第八五六一号貸金請求事件の判決に基づく強制執行はこれを許さない。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 当裁判所が本件について平成八年六月一〇日にした強制執行停止決定はこれを認可する。
4 前項に限り仮に執行することができる。
理由
一 請求の原因1から3までの事実は、当事者間に争いがない。
二 そこで、抗弁について判断する。
抗弁1から3までの事実は、当事者間に争いがない。
被告は、まず債権差押命令の第三債務者がいわゆる執行供託をしたときは債務弁済の効果を生じるものであり、本件確定判決に係る貸金債権は弁済により消滅したと主張する。
しかしながら、右の第三債務者が執行供託をしたことによって債務の弁済の効果を生じるのは、差押えられた債権に係る第三債務者の債務者に対する債務であり、差押債権者の債務者に対する債務名義に係る債務ではないから、被告の抗弁4の主張は前提を欠き理由がないというべきである。
被告は、次に本件のような事実関係の下では、債権差押命令の第三債務者が執行供託をしたときに、配当の実施があったものと同視すべきであると主張する。
しかしながら、右主張も理論上及び実定法上の根拠を欠くものであって、採用できない。
三 してみると、原告の本件請求は理由があるから、主文のとおり判決する。
(裁判官 菅原晴郎)